shimo/log

2次や1次の創作もの、無作為にレポや感想を書き散らしたりします。KAMIJOさんがすきです。

映画『夜は短し歩けよ乙女』観てきました!

kurokaminootome.com

4月7日より公開の映画、森見登美彦氏原作夜は短し歩けよ乙女を観てきました!
このブログでも以前触れたことがあるような無いような、わたくし、森見登美彦氏の作品がとにかく大好きなのであります。とりわけこの『夜は短し歩けよ乙女』という作品は、私がまだうら若き学生であった頃、書店で何気なく手に取って以来その世界観と文体に心底惚れ、京都が好きになり、時間とお金さえあれば単身京都逃亡を図るほどのめり込むこととなったきっかけの作品であるのです。
そして暇を見つけてはその魅力的な作品の世界への理解をより深めるべく、「森見作品を余すところなく研究する」、略して「モアケ作戦」を開始したりして暇をつぶしておりました。モアケ作戦とは、言うまでもなく夜は短しに登場する「なるべく彼女の目に留まる作戦」略して「ナカメ作戦」のパクリであります。

 

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

 

 

 

森見作品といえば、「四畳半神話大系」「有頂天家族」がアニメ化され話題になりました。世間一般ではどうだか分かりかねますが、とにかく私の中では話題騒然でした。どちらも心の中でスタンディングオベーションをしたくなるほど最高の出来で感動したのがつい最近のことのようです。有頂天家族は、続編である「有頂天家族2 二代目の帰朝」が絶賛アニメ化中ですので、現在進行形で話題騒然であります。

 

四畳半神話大系 (角川文庫) 有頂天家族 (幻冬舎文庫) 有頂天家族 二代目の帰朝 (幻冬舎文庫)

 

そして、満を持して、この『夜は短し歩けよ乙女』のアニメーション映画化なのです!

最高にオモチロく、最高に阿呆で、最高に可愛く、最後にはウッカリ感動してしまう、あの作品の映画化とあれば、期待がむくむくと膨らみ達磨の如くパンパンになってはちきれんばかりでした。


実は、初見から3日ほど日を空けてもう一度見に行ったのですが、1回目と2回目とでは、抱いた感想が違うのです。我ながら驚きました。

 

初見でヒシヒシと感じたのは、『やっぱりあの作品をたかだか90分程度の映画に閉じ込めるなんて無理だったのだ・・・』ということ。どちらかと言うとマイナスイメージ。この作品が好きであればあるほど、なおかつ「モアケ作戦」なんてものをやっちまったがために、ことさらに原作との相違点に気付いてしまい、どうしても違和感が打ち勝つ場面が多くなってしまうのでした。


まず大きく違うのが、「時間の流れ」。原作は春夏秋冬それぞれの季節の、とある日常にフォーカスを当てられており、一作を通して少なくとも約9か月(なんとなくですけど)経過しているんです。映画版はそれをギュギュっと、ギュギュギュウウウウウっと凝縮してたった一晩で起きた出来事として描かれているんですね。
これが、原作ファンからしてみれば「???」であり、きっと原作を知らない人も「えっこれ一晩の物語なの?!」と理解に時間がかかるのではなかろうか…と、私個人が個人的に「無理したな」と思ったポイントでした。
約9か月を1晩に収める、ということは、物語には直接関係無いけどオモチロイ小ネタを削らざるを得ない。ご丁寧に全部を拾って映像化、ということになるとおそらく5時間を超えるような映画になっちまう。かといって、前編・後編に分けてしまったら、あの独特な疾走感を無くしてしまうことになるし……

 

というような感じで、初見での私の感想は『削りすぎ!略しすぎ!無理ありすぎ!!』だったのですが、少々そればかりに気を取られてしまっていたので、もう1回観ることにしたのです。(入場者特典の一週目と二週目両方欲しかったとも言う)

 

今一度客観的な気持ちで観ると、湯浅監督のほとばしるセンスに気付くことが出来るんですね。そこをそうしたのかァ!ははぁ!みたいな。“原作通り”とは行かないけれど、あの疾走感を崩さずひとつの映画作品に仕上げるには多少の組み換えは必要だったのだ。
・・・・ということに思い至ったのが、2回目を観た後でした。

 

先に映像化されていた四畳半神話大系にも出てくる羽貫さんは樋口師匠(と、ジョニーさん。笑)はそのままに、主人公である“先輩”と黒髪の乙女のキャラクターがイキイキしていて本当にかわいい!
四畳半の“私”は、キャラクターデザインとしては丸みがあるものの、超絶早口かつ抑揚のない感じで喋る偏屈男クン感がありました。私はそこが好きだったのですが。(笑)
今回の“先輩”は、“私”より四角い部分が目立つキャラクターデザインで(眼鏡とか、眼鏡とか。)比較的ゆっくりな口調の、慎重かつ大胆な人物像でした。同じ腐れ大学生でも結構ちがう。明石さんはクールで聡明でちゃっかり者な乙女だったのに対し、黒髪の乙女はとにかく天真爛漫に我が道をゆくお姫さまのような感じで、これまた違ったタイプのヒロイン。髪型とかは似ているのにね~声のイメージというのもあるのかしらん。

あと、どのように描かれるのか楽しみにしていた『学園祭事務局長』!期待通りでした。『線の細いイケメン ※ただし美貌の使い方を間違えている』っていう感じが特に好きです。声が神谷さんっていうのがまた良いですね。神谷さん好きなんだよ(個人の見解ー!)原作では特に取り上げられていなかった女装エピソードも何故か盛り込まれていて。ほんと、なんでだろ。良いんですけど。他あんなに色々削ってたのに、事務局長の女装は追加されてた。なんで?笑

 

ちなみに、李白さんと千歳屋の主人は、有頂天家族に出てくる寿老人と大黒さんと同一人物なんですが、そこのキャラクタービジュアルの統一は特にされていないようです。

 

物語後半に向かうにつれて、監督ほとばしる熱いパトスが収拾つかない方向へ向かい始めているのをひしひしと感じるのですが、最後の最後は原作通りにまとめてくださって、うっかり泣きました。
晩年床で風邪に苦しむ先輩と、見舞う乙女。やっとの思いでデートに誘う先輩、応える乙女!進々堂で初のデート!ウワーーーー!!!この流れですよ!!!
ず~~っと外堀を埋めて埋めて埋め尽くしていた、永久外堀埋め機関と化していた先輩の努力が実を結んだ瞬間!!しかも乙女側も満更ではない感じが本当に可愛い。この瞬間どうしても泣いてしまうんです、嬉しくて。。先輩の外堀埋め尽くし行為は決して無駄では無かったのだ!!
まぁ映画版だと1日しか外堀埋めてないんですけどね…(それを言ったら駄目)

 

本当のことを言ったら、原作だと、乙女が自ら「最近あの先輩をお見かけしていない、もしかしたら風邪で倒れているのでは?」ということに気づいて、お見舞いに行こうとする所あたりで既に泣けてくるんですけどね。映画版だと事務局長に言われて見舞いに行ったよね。事務局長グッジョブかよ。なんだあいつ。イケメンか?(イケメンだわ)

 

兎にも角にも、最後は綺麗に纏まって、爽快な気持ちで見終えることが出来ました。

やっぱり好きだ~、森見作品!
きっと私はDVDを買うでしょう!

 

f:id:frostxmoon:20170523223342j:image